里山で美しく生きる。

これがボルドーシャトーのプライド

門を入って眼前に広がったのは美しく整備された庭。その向こうには、どこまで続くのか? と思わせるワインぶどうの並木。そして、歴史を感じさせるシャトーの建屋の中には千を超す樽が整然と並べられていたのだ。(スゴーイ!)

ここは、ボルドーに入って最初に訪問したシャトー・パプ・クレマン。お~、これが本場のシャトーということか、なんて思ってしまった。次に向かったのは、シャトー・オー・ブリオン。一級シャトーである。このシャトーにも、美しく整い品格のある庭が広がり、昔ながらのまさにシャトーという雰囲気があった。さらに、シャトー・マルゴー(途中で二手に分かれたため、私は残念ながらいけなかったのだが…)。そして最後にサンテミリオンのシャトー・フォン・ブロージュ。ここでも庭は完璧に整備されていたのだが、さらに、庭の中央には17 世紀に使われていた日時計が…歴史の長さと、確かな格を感じたのだった…。

ご存知の通り、ボルドーのシャトーは1855 年の第1 回パリ万博で当時の評判や市場価値に従い、初めて格付けが公式に決定された。だが、その以前からすでに、選ばれるシャトーには純然たる差があったのだろう。つまりすでに、選ばれるシャトーはいいワインをつくるため、するべきことを実践していたということだ。そしてそれから160 年以上のあいだも、それぞれのシャトーは、その格付けを維持しようと手間のかかる方法でも徹底して実践してきたということだろう。そんな各シャトーのプライドが、門を入った瞬間、目の前に広がるあの隅々まで整備された庭に表れていると私は感じたのである。どのシャトーも、庭だけではなく、建物、樽、貯蔵室、シャトーの建屋自身も徹底して美しく、その美しさを次代に繋げようという意思が感じられた。そんな意思こそが、注目される上位ワイナリーとしての自負であり、プライドなのだ。

ワインの世界から少し離れるが、老舗・虎屋の17 代当主黒川光博氏の「伝統とは革新の連続である」という言葉。虎屋の490 年はさまざまな試行錯誤であり、革新の連続だったということだ。なぜか、これらボルドーのシャトーを訪問していてこの言葉が頭に浮かんだのだ。実はシャトーも、そのぶどうづくりや醸造の仕方にはその時代その時代のトレンドがあり、ず~っと試行錯誤を繰り返してきたという。すなわち、シャトーも虎屋と同じくここ200 年は革新の連続だったのではないかと思うのだ。格付けによる品質をも保つための様々な試行錯誤が、結果としてあの美しい庭に表れているのだろうと、シャトーの庭を脳裏に浮かべながら思ったのだった…。

この記事を書いたのは…
中島セイジ

株式会社QB総合研究所・代表取締役、株式会社クオーターバック・ファウンダー。1955年北海道生まれ。経営デザイナーとして多くの企業を支援する。

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