接木苗の欧州品種が、2年目もしっかりと十勝の大地に根付くことを願う。
19世紀後半、ワインの歴史上でとても大きな出来事が起こった。それは、フィロキセラ(ブドウ根アブラムシ)という病害虫によってヨーロッパのブドウが壊滅状態になったことだ。この危機を救ったのが、フィロキセラに耐病性をもつアメリカのブドウ台木にヨーロッパのブドウ樹を接ぎ木する方法だった。確かにそれまでの純粋なブドウ苗木とは違うが、収穫される果実はヨーロッパのワイン用ブドウの性質を引き継ぐことができたのだ。
接木苗は自根苗に比べて生産年齢が長く収量を多く見込めると聞いているが、耐寒性は自根苗の方が強いようだ。接木の元となる台木の生産は暖かいところで行われており、北海道で安全に栽培できるのは余市辺りまでだとする栽培の専門家もいる。そんなこれまでの常識に対し、台木の栽培限界や接木苗と自根苗の比較栽培に挑戦する楽しみがこのワインヴァレー構想にはある。来年もまたワクワク羽ばたく酉年となりそうだ。