里山で美しく生きる。

不安を乗り越えた成果の春

越冬が成功し、しっかりと芽吹いた2年目のメルロー

 

芽室のブドウ畑でもブドウの芽吹きが始まった。人間の心理とは不思議なもので、春になって芽が出て来るまでは不安でしょうがないのだ。

その原因は3つあった。一つには不可能とされてきたことへの挑戦。本格ワイン用ヨーロッパブドウ品種を、生育が難しいとされる厳寒の地である北海道十勝に植えたこと。二つには予期せぬ試練。欧州品種の植栽1年目に50年に一度と言われる台風の連続襲来で記録的な降水量に見舞われ、管理作業が後手にまわりブドウの登熟に影響が出たこと。三つ目は過剰な自信。果樹栽培には厳しい自然環境だが絶対に育ててみせるという生産者たちの意気込みと情熱だ。何とか成功に結び付けたいと思う気持ちが不安を掻き立てたのだろう。

適地適作を考えれば2~3種類でも定着させれば良いと思うのだが、ワイナリーを経営していく上では最低でも5~6種類の品種構成が必要だと考えている。当面は多くの品種を研究することになる。多様なブドウ品種を植えて環境への適応能力を見守っていくのだ。今年も苗木の植え付けが始まった。一番の目玉はピノ・ノワール。フランスのブルゴーニュ地方の銘酒を産する品種だ。最新の気象データ解析によると北海道がその栽培適温域に入ってきたという。期待に夢が膨らむ話だ。

ピノ・ノワール

今年、芽室町に初めて植えられたピノ・ノワール。 夏日が続き、芽が動き始めています。

 

この記事を書いたのは…
内藤彰彦

ワイン醸造研究家。MEMUROワインヴァレー構想に欠かせないワイン造りのプロとして、専門家の視点からプロジェクトを支援。『まさか還暦を迎えてからこんな大きな挑戦をするとはね…やるからには…命をかけよう』

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